大神宮領

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 さて、神領荘園の一種として、伊勢大神宮領である御厨(みくりや)がある。皇大神宮はもっとも尊い神社として歴代尊信せられてきたから、その勢力も大きく、鎌倉時代に作られた『神鳳抄(じんぽうしょう)』には、全国数百か所におよぶ御厨を列挙しているが、そのうち、遠江に存するものも少なくない。そして、現浜松市域に含まれる地としては、有名な蒲御厨・都田(みやこだ)御厨があり、池田御厨の名もみえる。また、市域に近いものとしては、磐田市に鎌田御厨、浜北市に美園(みその)御厨(一部分は当市域)、引佐郡に祝田御厨・刑部(おさかべ)御厨、三ヶ日の辺には宇治乃御厨・尾奈(おな)御厨、さらに大崎御厨があり、また、浜名御厨の名も記録にみえている。御厨の成立はいちいち明らかにできないものが多いが、これらの中には平安時代の末にその名があらわれているものもある。そのいちいちについてつぎに説明を加えよう。
 

(表)西遠所在御厨(神鳳抄による)
御厨名面積・貢物現在地
尾奈御厨55丁(米,絹)引佐郡三ケ日町尾奈
都田御厨上分田見作89町浜松市都田町
蒲御厨550丁(米) 〃 神立町辺
刑部御厨100余丁(魚,米)引佐郡細江町中川辺
祝田御厨50余丁 〃
美園御厨500丁(米,紙)浜北市美薗辺
池田御厨浜松市和田町
大崎御厨雑紙引佐郡三ケ日町大崎辺
宇治乃御厨  〃    宇志辺
佐久目御園  〃    佐久米辺