【浜名の橋】この勅撰集の中にも、遠江や浜松辺の地名は散見する。たとえば、
『拾遺和歌集』巻六、
「恒徳(こうとく)公○太政大臣藤原為光の家の障子に兼盛○平
しほみてるほどに行きかふ旅人や浜名の橋と名づけそめけむ」
『後拾遺和歌集』巻九、
「父のともに遠江の国に下りて、年経て後下野守にてくだり侍りけるに、浜名の橋のもとにてよみ侍りける、
大江広経朝臣
あづまぢの浜名の橋を来て見ればむかし恋しきわたりなりけり」
『金葉和歌集』巻四、
「橋上初雪といへる事をよめる、
前斎院尾張
白波の立ちわたるかと見ゆるかな浜名の橋にふれるしら雪」
『千載和歌集』巻十四、
藤原清輔
【引佐細工】逢ふことは引佐細江のみをつくし深きしるしもなき世なりけり」