『傀儡子記』によれば、傀儡子は、西欧のジプシーにも似た、住居を定めない浮浪の民で、賤民視されている。彼らは常に移動し、男は狩猟を生業とし、また弄剣・人形遣い・手品などの雑芸を披露し、女は化粧して歌舞し、売春を行なう。そしてこの傀儡子は定住しないから土地の役人に縛られることもなく、全国でも美濃・三河・遠江辺の連中はとくに豪勢であると記してある。交通路という点から考えても、これらの傀儡子は浜松の辺にもしきりに姿をみせていたことであろう。平安末の地方の一風俗として、これまた興味ある姿であろうと思われる。