地頭の職務

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 地頭は土地を管理し、農業にはげむように監督することが重要な職務である。中には、荘園領主のために農民から年貢を取りたてる権利をもったものもある。
 
 【地頭給田 地頭名田】地頭には職務の代償として収入がある。それは複雑だが、おもなものは、地頭給田(きゅうでん)と地頭名田(みょうでん)である。地頭給田は、年貢や雑税のまったくかからない田、収穫がそのまま地頭の収入になる田である。地頭名田は、雑免田(ぞうめんでん)ともいい、年貢はかかるが、そのほかの雑税を免除される田である。
 
 【地頭職】何荘(なんのしょう)の地頭(じとう)にすることを、「地頭職(しき)」に補任(ぶにん)するといった。これは地頭という職(しょく)に任命するとの意味だが、別の面からいえば、地頭職という一つの収益権(得分(とくぶん)権)、土地・人民・財産を与えることである。そして地頭制度が国家公認の制度になると、国司や荘園の領主は、かってにやめさせることができない。