土地を土台とするむすびつき

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 【名田 名主】平安朝(七九四-一一八〇)の末から鎌倉時代にかけて活躍していた武士は、農村に住みつき(土着)、農業からまったく離れることはなく、一族(家子(いえのこ))や血のつながりのない郎党(ろうとう)(等)・家人(けにん)に土地の耕作と経営を請け負わせ、自分が直接経営する小面積の土地を下人(げにん)(所従(しょじゅう))に耕作させた名田(みょうでん)(請け負わせた土地も直接経営の土地も名田)の持主(名主(みょうしゅ))である。この名主と一族との関係は、土地を土台にしてむすばれる。そして主人(名主)と一族らとのあいだには、支配と服従、御恩(ごおん)・奉公(ほうこう)という人格的な隷属関係がある。

武士と所従 松崎天神縁起絵巻 部分(防府市 防府天満宮蔵)