下人と奴隷とのちがい

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 【下人】これが土地の所有と土地の給与を土台にしてむすばれた主人と家来、主従(しゅじゅう)の関係である。封建制の基本はこれである。戦いのばあい、家子・郎党までが騎馬(しかし郎党は補助的兵力)で、下人(げにん)は徒歩で主人に従う。だが支配と服従といっても、下人たちは主人の奴隷とは限らない。道具などの動産と同じように、主人の持物にすぎないと考えられ、自由に売買・譲渡されたのが奴隷である。下人のなかには田畠とともに売買されたり、譲り渡される者もあったが、主人の住居とは別に住み、生活する者もあったからである。したがって平安(七九四-一一八〇)なかごろからのちの社会構造は、封建社会であったと想定してよいと思われる。