新補率法

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 収入についての先例のない地頭には、十一町ごとに一町(約一ヘクタール)の田地を与え、そこからの年貢を地頭の収入とした。また荘園領主に納める年貢のうちから、田地一反歩(一〇アール)ごとに米五升を(七キロ)加徴米(かちょうまい)として地頭に与えた。これを新補率法(しんぽのりっぽう)とよんだ。地頭は荘園内の警察権をもち、治安維持にあたる。なかには管理人や名主の任免権とか、荘園領主のために農民から年貢を取りたてる徴税権をもっている者もあった。しかし新補地頭は、警察権だけに限られ、任免権や徴税権はない。だから農民に対する支配権は、あまり強くなかった。
 このため彼らのうちには、「じぶんは本補地頭だ」と称して、徴税権・任免権などを行使するものもでて、領主とのあいだに争いをおこした。