異国降伏の祈祷

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 モンゴルの侵入に対し、朝廷・幕府・諸社寺・庶人は、神社や寺院に祈願をささげた。まず弘安三年(一二八〇)二月、幕府は全国の寺社に対し、祈祷をさせた。正応(しょうおう)四年(一二九一)と五年にも全国の一宮と、国分寺に異国降伏の祈祷をさせる。この命令をうけた諸国の社寺は、一斉に実行して幕府に毎月巻数(かんず)を進めたにちがいない。正応六年幕府は、諸国の一宮に神宝(じんぽう)を納めている。正安二年(一三〇〇)また諸国の一宮と国分寺以下の社寺に、異国降伏の祈祷をさせた。つぎに幕府は、延慶(えんけい)三年(一三一〇)二月、守護をとおして、全国の社寺に異国降伏の祈祷を命ずる。幕府が地区を限ってそこの社寺に祈祷させたことは、このほかに何回もある(相田二郎『蒙古襲来の研究』)。