物資の輸送で問丸ときりはなせないのが、交通の要地に住む馬借(ばしゃく)や車借(しゃしゃく)である。もとは農民の副業であったろうが、そのうちに専門の職業となり、多くの人や牛馬をつかう業者もあらわれた。車は手車が多く、しかもこれは畿内(大和・山城・摂津・河内・和泉の五国)の平野部にかぎられ、そのほかでは、一般に駄馬をつかった。
【蒲御厨の馬匹】蒲御厨の平百姓(ひらひゃくしょう)(名子)は、馬匹をもっている。ここは馬耕地帯でもないから、この馬は馬耕用だけでなく、運輸交通業にも利用されたのであろう。