伊勢信仰

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 伊勢神宮は、天皇のご祖先を祭る神社である。このため個人が幣帛をささげることはできなかった。平安(七九四-一一八〇)末になってこの禁令がゆるんだことは、伊勢信仰を流布(るふ)させるのにききめがあった。中央貴族・国司・在庁官人らは、古代国家の象徴である大神宮に深いあこがれの心をもっていた。しかも東国の豪族のあいだには、わが国は神の知行する国で、その神の最高は天照大神(あまてらすおおみかみ)である、と伊勢大神宮を高く評価している。
 
 【御厨】東国豪族が大神宮に対し、特別な感情をもち、御厨(みくりや)を寄進した例が多い。豪族と神宮の神主とのあいだに婚姻関係のあったこともみのがすことはできないであろう。