修験道

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 鎌倉時代に近いころに成立した山岳信仰の一つの型が、修験道(しゅげんどう)である。天台宗・真言宗の密教僧が、山岳で起(お)き臥(ふ)しして修行をつみ、真言秘密の加持・祈祷の法(非凡の呪力の験力(げんりき))を会得(えとく)し、諸国を行脚(あんぎゃ)し、異様(いよう)な姿をして施療したり、現世利益(げんぜりやく)のための祈祷や「まじない」をしたのが、修験者(しゅげんじゃ)(山臥(やまぶし)・山伏)である。修行した経験の深いものを先達(せんだち)といった。修験道は、民間信仰の中にある呪術(じゅじゅつ)や精進潔斎(しょうじんけっさい)の方法なども巧みにとりこんだので、多くの人びとの支持をうけた。上流貴族や武家は、密教寺院から高僧をよび、加持してもらうだけでは満足せず、修行をかさね、危険をくぐってきた山伏や先達にたのんでこそ効果があると信ずるようになった。