御成敗式目(ごせいばいしきもく)では、先祖が開墾して伝えてきた土地(私領)は売買を認めているが、御恩(ごおん)として与えられた土地の売買を禁止した。
しかし仁治元年(一二四〇)五月に、「私領であっても凡下(ぼんげ)(侍でない庶民)の借上(かしあげ)に売ってはいけない。売買された土地があれば没収する。非御家人(ひごけにん)(将軍と主従関係のない武士)が土地を買ってもその所有を認めない。」とさだめた。さらに文永四年(一二六七)には、御家人の所領のすべては、御家人のあいだでも売買・流質を禁じ、売却ずみや質流れについては、もとの値で買戻すことができるようにした。このような法令は何回もくりかえされている。ききめがなかったからである。
蒙古の襲来後になると、将軍の領地の関東御領でさえ、非御家人や一般の人びとの手にわたるものが続出した。幕府は、ついに最後の切札を出すことになった。