御家人の保護 徳政令廃止

451 ~ 451 / 706ページ
 幕府の徳政令は、御家人の所領が高利貸の手に移るのを防ぐための徹底した御家人保護の政策である。
 しかし徳政令が公布されてまもなくのこと、土地の売券には、つぎの徳政令がでても元金は返す、と書いたのがある。損害をさけるために、高利貸業者がしぼった智恵である。御家人は、徳政令で土地をとりもどしてみても、生活程度は同じだからすぐ生活にこまる。しかも徳政令にこりた業者は門をとざしている。御家人保護のための徳政令が、かえって御家人を苦しめることにもなった。永仁徳政令は、翌六年二月に廃止され、幕府の御家人保護の政策はくずれさった。
 鎌倉幕府の基礎になっていた惣領制はくずれ、御家人の生活が苦しくなり、しかも徳政令で幕府に対する信用がおち、元寇の善後策処理などの問題がからみあって、戦後に鎌倉幕府は急に衰えだした。