悪党の温床

453 ~ 453 / 706ページ
 領地を売り渡し没落した御家人、荘園をおいだされた武士や領主、相続をうけられなかった庶子など、社会の敗残者が徒党をくみ、社会秩序に反抗する現象が目だってきた。蒙古合戦からのちのことである。この悪党(あくとう)は、グループで他人の田を刈りとり、財物を奪い、農民に被害を与えた。悪党も、はじめのころは、山賊・海賊・強盗の集団と同じであった。惣(そう)など農民の団結組織の中心になった荘官(しょうかん)(荘園の管理人)や、有力な名主も、機会があれば悪党になりかねなかった。農村の姿が悪党をはびこらす温床になったのである。
 悪党の活動したことは、幕府の権威が失われたことを天下に示したものである。