井伊谷滞陣中の和歌

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 宗良親王の井伊谷に滞陣中の和歌が、その歌集『李花集(りかしゅう)』にある。
 
 【浜名の橋 橋本 白菅】「延元四(三)年春頃遠江国井伊城に住侍しに、はまなの橋の霞わたりて、橋本の松原湊の波かけてはる/\とみわたさるゝあした夕のけしきおもしろく覚侍しかは、
   夕暮はみなともそことしらすけの入海かけてかすむ松原
   はる/\と朝みつしほの湊船こき出つるかたは猶かすみつゝ
  遠江国に侍し比月歌とてよみ侍し、
   湊江や夕しほふかくなるまゝに月にそうかふ浦の松原」
 
 まことに親王の姿が目前に浮かぶようである。
 
 【道政の娘】井伊道政の女重子(駿河姫)は親王に侍し、尹良親王を生んだ(『纂輯御系図』『浪合記』『井伊家系図』「駿河姫と尹良親王」『細江のあゆみ』4号)。

宗良親王像(菊池容斎筆)