目次
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中世編
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第三章 南北朝時代
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第三節 南朝と北朝
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戦いのあけくれ
新葉和歌集と李花集
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吉野の山中にたてこもった南朝の人びとの歌集に『新葉和歌集』がある。後醍醐天皇の皇子で後村上天皇の弟の宗良(むねなが)親王が、千四百余首を選集したものである。親王の歌集には別に『李花集』がある。『李花集』には、山中の辺境での悲哀と情趣を感じさせるものもある。京都の空をなつかしむ歌が、かなり多いのは当然であろう。このためこの時代の貴族の和歌として、特異な作品を残している。