特殊な武力集団

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 【悪党 溢者 凡下 甲乙人】鎌倉の中期からのち、おもに畿内とその周辺地方で、悪党・溢者(あぶれもの)などとよばれる特殊な武力集団が活動しだした。この集団には、騎兵もあるが多数の歩兵がまじっている。彼らの得意とするところは、複雑な地形でのゲリラ戦法や、古来の戦いのルールを無視した奇襲とか待ち伏せ戦法である。これらの武士は本来の武士のほか、凡下(ぼんげ)・甲乙人などとよばれた農民(名主)が少なくない。当時の社会通念では、武士に数えられない人たちである。その服装も異様であり、柄・鞘のはげた太刀をはき、みにくい鎧や腹巻をつけるなど、武器らしい武器ももたず、十人・二十人が集団して篭城し、攻撃軍に加わり、また寝がえる。