武器の変化

498 ~ 498 / 706ページ
 【馬甲】戦いのルールも変わる。「馬を射るな」というルールは、無視される。馬の面と胴体を保護する「馬甲(よろい)」が使われだすのは、このころからである。
 
 【槍】槍があらわれだした。延文四年(一三五九)山城国上桂(かみかつら)荘(京都市右京区)の百姓(名主)藤三郎が、昼強盗に奪われた品物の注文(明細書)に「鑓一」とある。もうそれほど珍しい武器ではなくなっている。肉迫戦で槍を使い、もっとも威力を発揮できるのは、歩兵が騎兵と戦うばあいである。一般に槍の身は刀剣よりも粗製だというが、それは徒歩の雑兵用として突くだけであることが、大きな理由であろう。【手突矢】手突矢(てつきや)という、いかにも野伏・足軽が使いそうな新兵器もあらわれる。
 
 【徒歩立用刀】肉迫戦のおもな武器の刀も、長さ・幅・重さが増加した。それは片手で馬上から使うのから、両手の使える徒歩立(かちだち)用に変わったからである。しかも刀身の反(そ)りが浅くなった。徒歩立では、馬上から切りおろす場合にくらべて、反りの浅いほうが有利だからである。
 
 【甲胄】甲胄の構造も歩兵戦が発達して大きく変化した。胄を深くし、鉢(はち)の内部に頭が密着しないように革をつけた。刀による打撃から頭を保護するためである。射戦本位から太刀打ち本位に変わったためであろう。
 
 【具足】また源平合戦から鎌倉時代にかけて、もっとも発達した大鎧は、しだいにすたれて、軽量な具足(ぐそく)がつくられるようになった。この傾向はますます強くなる。