田積に杖(つえ)という単位がある。肥後(熊本県)・肥前(佐賀県)・筑後(福岡県)・豊前(大分県・福岡県)・大隅(鹿児島県)・伊勢(三重県)・遠江などに行なわれ、中世のはじめから戦国時代におよんだ。中国地方に行なわれた証拠は残っていない。【大福寺】遠江大福寺所蔵の正応三年(一二九〇)三月神助近田地売券に、「合弐杖半者」とある(相田二郎「肥後球磨郡地方の杖」『歴史地理』第六十巻第弐号、植村博「田積の単位「杖」及び其の初見竝に分布」『歴史地理』第六十一巻第四号)。【尊永寺】なお天文十年(一五四一)二月、今川義元が遠江袋井市の尊永寺にあてた安堵の判物のうちに「弐反三杖 高部郷内」とある(『尊永寺文書』)。