手工業者は、神社・寺院・地方豪族・荘園の代官・荘官らの下部(しもべ)として、命令をうけて工業製品をつくり、その俸給として田地をもらっていた。弟子の所従(しょじゅう)や下人(げにん)たちは、多くは農業で生活をささえていた。手工業の職種は、建築業・金属工業・染色工業・製紙業・織物業・醸造業などである。
十四世紀の中ごろになると、手工業者は、社会的にも一つの階層として認められるようになる。手工業者の工が農からわかれて独立した。弟子で農業をし所従とか下人といわれた人びとは、いまは小さくとも名主とよばれることになり、彼らが専門の工人に独立した。【職人】職人といえば手工業者をいうことになる。染色の業者のうちから、十四世紀のはじめには、染物売座(そめものうりざ)という販売業者がわかれている。