隠遁文学

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 【徒然草 方丈記】『徒然草』で兼好法師(一二八二-一三五〇)は、世の中の変動を観照し、思索している。彼は新しく生まれてくるものに希望と発展をみいだそうとはしない。しかし『方丈記』のように滅びることに無常を見いだしたのとちがい、兼好は鴨長明(一一五三-一二一六?)にくらべて発展があったといえる。
 
 【増鏡 梅松論】『増鏡』は、宮廷生活を中心に、和文で物語風にのべている。『梅松論』は、増鏡と構想がにているが、文学としてはみるべきものがない。
 南北朝時代に注目すべき説話集は『神道集』で、延文三年(一三五八)ごろの筆録である。
 日記文学には『竹むきが記』が、騒乱期に女性の書いた唯一の日記文学として貴重である。