戦国時代のはじめとおわり

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 【伊勢長氏の成功】戦国時代のはじめは、明応(めいおう)二年(一四九三)五月、十代将軍義稙(よしたね)が管領(かんれい)の細川政元らに幽閉された事件を指標とする。それからのちの室町将軍は、管領など実力者のロボットにすぎなかった。その二年前の延徳(えんとく)三年(一四九一)に、名もない伊勢長氏(のちの伊勢宗瑞、早雲)が、室町幕府の出先機関の伊豆堀越(ほりこし)(静岡県田方郡韮山町)の公方(くぼう)足利茶々丸を殺し、またたくまに伊豆一国を制圧している。
 戦国時代のおわりは、げんみつにいうと、羽柴(はしば)秀吉が織田信長の弔合戦(とむらいかっせん)をして、政権をうけついだ天正(てんしょう)十年(一五八二)ころであろう。しかし織田信長が足利将軍の後継者義昭(よしあき)をようして上京した永禄(えいろく)十一年(一五六八)九月は、強力な中央政権ができた指標とし、戦国時代はおわり、これからのちの動乱は余震であると考える。