戦国大名と近世大名のちがい

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 なお戦国大名と近世大名との決定的なちがいをみよう。
 
一、近世大名では、大名相互間の国境線が確定している。
 
一、近世大名は、家臣が領民に対し持っている独立固有の支配権を奪い、彼らを転封する条件をつくりだすことによって、組織、集中された統一権力で、直接に単一に農民を支配する体制をつくっている。戦国大名ではこの点に限界があり、むしろ守護大名と共通性をもっていた。
 
 【百姓前 本百姓】一、戦国大名は有力名主(百姓前)を権力の基盤とし、彼らを年貢・夫役などの納入責任者としてとらえた。近世の大名は、名主の家父長的な経営から、血縁分家や家内下人にわかれ、自立してできた小農(本百姓)を権力の基盤としている。