農民の身分変動禁止

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 【今川氏 井伊氏】天文五年(一五三六)九月に、今川義元は駿河安倍郡の安養寺領の百姓(名主以上)らが、武士に奉公すること、まして耕地を棄てて他出することを禁じている(『安養寺文書』)。また天文十五年八月、井伊直盛は祝田(引佐郡細江町)の百姓たち・脇者(同族)・下人たちが地主(名主)の意思にそむき武士の被官(ひかん)になるなど、権力基盤の農民の身分が変わることを禁止している(『蜂前神社文書』)。
 荘園制の変質と崩壊を促進した新しい郷村が、戦国大名の封建支配の基盤としてとらえられた。