【分国法 共通性】戦国大名は、分国を治めるにあたって、御成敗式目を基準法とするとともに、独特の特色をもつ法度(はっと)・国法(こくほう)・置目(おきめ)・仕置(しおき)・家法(かほう)などという分国法(ぶんこくほう)を制定して、これを公布した。そのいずれも、同じような必要からできたものだから共通性がある。第一に御成敗式目や幕府の法令をまねている。第二は武断的で裁判の規定がきわめて簡単なことである。第三は排他的の規定が多いことである。第四は法律的の条文と道徳的条文とが同じ法文のうちに混入している。とくに訓戒的な法が多い。第五は経済的な内容が多い。
このような分国法には『大内氏掟書』・『相良氏法度』・『今川仮名目録』、伊達氏の『塵芥集』、島津貴久の天文八年の『法度』、後北条氏の「十七ヶ条法度」(「旧伊豆在庁文書」『県史料一』所収)、武田氏の『甲州法度之次第(こうしゅうはっとのしだい)』、結城氏の『結城氏新法度』、六角氏の『義治式目』、安房(あわ)(千葉県)里見氏の『里見家法度』阿波(徳島県)三好氏の『新加制式』、また長宗我部氏の『百箇条(掟書)』がある。