陣触れ 戦略と戦術

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 出陣命令を陣触(じんぶ)れという。戦いは「いくさ」「合戦」「戦争」などという。戦いに勝つためには戦略と戦術が必要である。戦争にかつ計画が戦略で、一つ一つの戦いに勝利をえる作戦が戦術である。戦術については兵法と陣法が基本法則であった。それは中国からの輸入である。
 
 【信玄の戦いの基本】『豆相記』に「敵に接せず退(しりぞ)き、利をみてこれにくわうるに大軍をもってす」とあるのは、武田信玄の戦いの基本として、後北条氏の警戒したところだという。天正(てんしょう)元年(一五七三)四月、上杉謙信の軍は糸井(いとい)川上流の山中で鉄砲(そのころは炮と書く)の音一つを聞いて、「すわ信玄の軍か」と恐れた。しかし猟師のであった、と謙信の書状にある。これは信玄軍の精兵ぶりをよく示している実話である。