【城下町】軍需品が優秀であることと、これを多量に備えておくのが、戦国大名の基本政策である。刀・剣・槍、のちには鉄砲をつくった鍛冶・鋳物師(いもじ)・大工・小工、甲胄・弓などをつくる細工師などの手工業者で、農民は、早くから農村にいた。南北朝時代になると、専門職人として農村から離れる機会にめぐまれた。しかも大名は、彼らを城下町に集中する政策をとった。
【武田信玄】そして武士団の必要品を優先して製作させる。細工する番匠は、惣大工などに統制させた。信玄も鉄砲の砲丸と玉薬(たまぐすり)製造用の薬研(やげん)の増強につとめた。【徳川家康】天正三年(一五七五)の長篠の戦いの前に、平地の一小城を武田勝頼の一万五千の大軍が包囲しながら成功しなかったのは、篭城した家康の将奥平信昌の鉄砲の威力のためであった。徳川家康は弾丸の素材となる鉛の入手のため、鉛鉱には諸役を免除している。