交通税

625 ~ 626 / 706ページ
 【新居関銭】人と貨物にかけるのが関税で、船舶にかける船役などとともに交通税である。遠江堀江の中安兵部少輔は、新居(浜名郡新居町)の関銭を知行していた。弘治(こうじ)三年(一五五七)今川氏に呈出した目録に、税収は「不同」と書いたので、永禄六年(一五六三)に年額五十貫(永楽銭千枚が一貫文)ときめられた(『中村文書』)。この分には新しく軍役がかかる。
 
 【海賊の役】帆別銭(ほべちせん)・湊役・浦役・船役など、水上交通税を「海賊之役」ともよんでいる。海賊は水上運輸業者のことである。村櫛荘に住した大沢氏は、天文二年(一五三三)十二月、今川氏輝から「内海小船役」を安堵されている(『大沢文書』)。
 
 【湊役】また天文十七年二月十五日付、今川義元の本田縫殿助宛判物(はんもつ)(『摩訶耶寺文書』)によると「湊役」と「渡津の船役」を縫殿助に給与している。ともに港湾と船舶にかける税目である。徳川家康は元亀(げんき)二年(一五七一)、久須美土佐守に対し、船一艘の諸役を免除した。これは関税と営業的な税をふくむであろう。