分国領の租税の特色

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 戦国大名の租税の特色は、年貢がもっとも重要な税目であり、商工業税などの営業税と交通税がのびてきたことである。分国財政は年貢と公事だけでは賄いきれなかった。しかも段銭でも棟別銭でも戦時になれば増徴され、短時日のうちに納めねばならない。
 
 【今川氏の苦心】永禄六年(一五六三)九月、今川氏は遠江浜名郡の某郷(堀江郷の中安氏であろう)の指導者に対し、㈠年貢を納めない以前に借米・借銭を催促してはならないこと㈡年貢を納めない以前に俵物(米俵)を移動してはならない㈢百姓や小作が年貢を納めないで米俵に篠(ささ)をかけて隠し、また逃亡し、山林は不入の地だといっているが、不法だから役人に問責させ、年貢をうけとるようにと指示した(『中村文書』)。年貢の収納に苦心したのは今川氏だけではない。