水上交通業者に対し、たとえば今川氏は帆役・湊役などの課税をし、津料(港湾税)・と駄別(だべち)料(駄馬一疋の通関税)は廃止した(『今川仮名目録』二十六条)。【御用業者】大名の多くは御用の水上交通業者をつくり、これらの税を免除している。【浜名湖の交通過書】今川氏は、永禄五年(一五六二)今切のうちに繋いである宇布見郷(浜名郡雄踏町)の船二艘に、印判(今川氏の朱印状)と過書(手形)を与え、運送させているばあいは村櫛や新居に寄航する必要はない。湖上の運航をとめてもこの二艘は特別だ、と指令している(『中村文書』)。この指令をうけた中村右衛門太郎は、今川氏のときに舟奉行、徳川氏の入国ののちは代官となり、宇布見・人見(当市大人見町・古人見町)などを支配していたという。