【関税】鎌倉幕府・建武新政府・室町幕府いずれも関所の廃止を政策として実施しようとした。だがその実行はよういでなかった。封建的な課税のうちでも代表的なのは関税である。戦国大名領内の関所からの収益は、大名の個人経済・政費・軍費にあてられた。関税は、家臣に委託するか請け負わせる。
【廃止のねらい】戦国大名は、分国経済を完成し、維持するために、国内の商品流通を早める施策をとった。そのため国内の関所は撤廃してゆく。しかし国外に対しては封鎖政策をまもる。このためには国境の関所がもっとも効果をあげる。商品流通を早めるためには、関税を廃止しなければならない。この矛盾をとく立場の大名は、国内の関所をすべて撤廃するという政策はとらずに、関税が商品流通に重大な影響を与えるばあい、その商品に限って免税とした。なお宗教的な理由から関を撤廃したことも少なくない。このように分国領の関所は、経済的の機能のほかに軍事警察の機能をもっていた。