通信機関

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 戦国時代には、使者・使僧(しそう)・山伏(やまぶし)・飛脚(ひきゃく)・烽火(のろし)などが通信機関であった。大名はこれらを利用して、情報の蒐集・交換・探謀とか敵兵の侵入をはやく知ることにつとめた。【公用飛脚】大名の本城と支城とのあいだには、公用の通信が伝馬を利用し、公用飛脚で行なわれていた。同盟関係の諸国にも使者を交換している。【陣僧役】これをつとめたのは、家臣や僧侶・山伏などで、特定の寺院にはこの陣僧役(じんそうやく)をかけた。寺院がそれを免除の特権をもっていても緊急のときには無効である。商人とくに大名の御用商人のうちには、今川氏の松木のように京都方面への通信の任務をめいぜられていたものもある。昼夜兼行のばあいは続飛脚(つぎびきゃく)をだす。永禄十二年(一五六九)北条氏から上杉氏に送られたように同じ通信を何人にも持参させたばあいもある。【暗号通信】天正十二年(一五八四)小牧山の戦いには、織田氏と徳川氏とのあいだに暗号通信が交換された。