解題・説明
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「御奉書」は、この場合、幕府からの老中奉書を指している。奉書の「奉」は、うけたまわる、の読みであり、老中が将軍の意を奉じて発給する公文書である。その内容は、儀礼行為に関わっては、将軍の家臣たることを礼として端午、重陽、歳暮の三季に、三家以下諸大名ならび門跡等が時服を献上した答礼として将軍から下賜される判物・黒印状に付属する副奉書や、年頭や八朔などの大名からの献上物に対する返礼などがある。政治行為に関わっては、切支丹禁令や大赦などの法令の伝達、火消番など戦役・普請などの軍役の発動の命令、さらに大名からの城郭修理などの願に対する許可なども含む。「御奉書目録第一」には、3代藩主津軽信義の寛永9年(1632)頃と4代藩主信政の元禄10年(1697)までに給された奉書数が信義代では年代は一切記されず通観しており、信政代では年ごとに分けて月日順に記される。ただし、日付のほかは、そのいくつかに何に関するものか要点のみ記されるだけで、奉書の内容は一切知ることができない。信政代では、いくつかについてどのような形式の文書であったか、「竪」「手紙」などが記されているものも見られる。(浪川健治)
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