最近、プレートの運動を規制する原動力が、マントル内部の大きな対流現象であることが再認識されるようになってきた(図55)。冷えて海溝から沈み込んだ
海洋プレートが六七〇キロメートルの深さに一度集積した後に、より深部へ落下して行き(コールドプルーム)、逆に核の上面付近からは高温の地球内部物質が上昇(ホットプルーム)する。後者が地球の表面にプレートのわき出し口をつくり、前者が
海洋プレートの沈み込みとともに大陸片の集合地となる。このような運動を
プルームテクトニクスという(丸山、一九九三、丸山・磯崎、一九九八)。つまり、
プレートテクトニクスの運動は、地球内部物質の大循環システムである
プルームテクトニクスの、地球表層部での物質移動と位置づけられる。
図55 地球内部物質の大循環システムであるプルームテクトニクス(下図)と,その表層部における物質移動(プレートテクトニクス)のかかわりを示す。(丸山・磯崎,1998より)