面白いことに、こうした特徴は、人間の生活と深いかかわりをもつ動物である犬や野生のネズミでも確認されている。北海道のアイヌ犬や東北の秋田犬の分子遺伝学の研究によれば、それらは典型的な南アジアタイプの遺伝子をもち(甲斐犬・沖縄犬も同様)、中部以西の柴犬や紀州犬・土佐犬などは、逆に朝鮮系の北アジアタイプの遺伝子をもつ。また日本産ハツカネズミのミトコンドリアDNAの分析からも、北海道・東北には東南アジア系の、関東以西には北東アジア系のハツカネズミが住んでいることが明らかにされている。まさに人間と同じ逆転現象が生じているのである。