中世後期における陶磁器をみると、一五世紀と一六世紀で顕著な違いが認められる。一五世紀の基本的な陶磁器の組み合わせは、碗・皿という器種が青磁・白磁・瀬戸であるのに対し、一六世紀はこれらの器種に青磁・白磁とともに、染付という絵付けのされた製品が加わり、瀬戸はそれまでの窖窯(あながま)生産から大窯(おおがま)生産に移行し、大量の陶磁器が供給し始める。
甕や壺・擂鉢(すりばち)のような比較的大型の陶磁器も、珠洲を中心とする流通から越前の製品に移行する変化が起こる。ここではこれら陶磁器の動きから中世後期の社会をみることにしよう。