詰城としては、
乳井茶臼館跡(写真212)や
乳井古館跡、
笹館跡、隣接町村では相馬村の湯口茶臼館跡、岩木町の高館城跡などが挙げられる。これらの館跡は、戦闘などの有事の際に逃げ込み、なおかつ合戦の指令塔としての役割をもって造られたものである。そのために非日常的な性格をもった館跡であるということができる。
乳井茶臼館跡にしても
笹館跡にしても山頂の頂部に小さな曲輪が設けられ、その曲輪を中心に同心円状の形態で何段もの段差が設けられ、帯曲輪(おびぐるわ)が作られていることが大きな特徴である。また幅狭い帯曲輪には、約五〇センチメートルほどの段が実戦のために設けられていること。また、山の尾根の一部を断ち切る格好で横堀が掘り切られ、さらに連絡用の通路部分を意図的に屈曲させたり、湾曲させて見通しをきかなくさせるなどの工夫もされている。そのようなことから非常に軍事的な要素が強い館跡といえる。
写真212 乳井茶臼館跡航空写真