弘前高等学校と市民

207 ~ 208 / 965ページ
弘前高等学校が主催した一般市民を対象とした講演会としては、大正十四年(一九二五)九月に青森市及び弘前市の両公会堂で開催した公開学術講演会がその最初である。
 昭和二年(一九二七)には、弘高が成人教育講座を開催した。八月から十月までの毎週火・木・土曜日の午後六時半から九時半まで弘高講堂において、一般市民を対象に実施したものであった。これは文部省が教育の機会均等を実現する趣旨により、生活改善・思想善導・科学知識普及等を内容として各地の大学及び直轄学校に委嘱して実施したものの一つである。昭和七年、十年、十一年、十二年には、公民教育講座の開催を引き受けている。これは連続四日間から六日間で終わる短期集中形態のものである。しかし、昭和十四年、十五年、十六年には再び成人教育講座に戻った。このように弘高は、国の社会教育振興の施策に協力する形で、当時における弘前市民の文化的渇望の一部を満たしたものといえる。