消費者の抵抗

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連合会では各町村に演説会を開いて加盟員を広げ、料金の半額を集金し、弘前裁判所に供託した。会社側は督促状を発送した。七月十九日藤崎町の演説会では臨席の警官と同盟側幹部と衝突、四人が体刑の判決を受けた。十月、会社は翌六年一月から一灯につき五銭値下げ、電球は二〇銭とし、五灯以上の需要者には計量器取り付けを許すなどを発表、十一月には料金不納者一万人に断線する旨の督促状を発した。このころ、酒席では争議を歌い込んだ津軽民謡が流行した。
    津軽じょんがら節
  今にこの世はどうなるものか
  米が七円で莚(むしろ)が三銭よ
  それにリンゴは不作でござる
  稼ぎたくても仕事コァないし
  遊び暮せば飯たべられぬ
  それにひきかえ金持ァ楽だ
  妾てかけを沢山こさえで
  物見遊山にその日を送る
  ほんに金持ァ幸福者よ
  ことに会社の大株主は
  あまたお客のあぶらを絞り
  もとは僅かに一三もんめ
  安い電気を高値におして
  ボリもボッたり六五銭
  株の配当も世間で稀な
  年に一割二分とは非道い
  やせてゆくのはオレ達ばかり