解題・説明
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題簽に、擦れながらも「坤ノ巻ニ記ス 仕立山 [ ]」とある。したがって、「乾」の巻も存在したはずであるが、それは伝わっていない。仕立山は、仕立見継山の意味ならば、藩有林である本山(御手山)のうち、または空地で自費栽植の許可を得て稚樹を養育し,成木になって抱山(私有林)としての証文を与えられたもので、伐木の際には杣役銭を免除された。兼平から悪戸、千年山から長峰、宿川原から浅瀬石、中別所から松代、十三から小友、舞戸から独狐と、岩木山南麓から奥羽山脈西側、さらに日本海側に区分して仕立山とそれ以外の森林の広がりを、街道と主要な寺社・川・沢などの情報も盛り込みながら山ごとに記している。また、山それぞれに「野山」「雑木」「ならの木」「柴立」などの樹木の種別情報も書き込まれている。なお、本図には津軽半島部などについての記述はないので、それは「乾」の巻に記されていたのかも知れない。(浪川健治)
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