解題・説明
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古代の官撰史書である六国史の第一。舎人親王らの撰で、養老4年(720)に完成、奏上された。神代から持統天皇11年(697)までの歴史を編年体で記す。全30巻。市史掲載写真は15冊刊本の12冊目。古代津軽については、斉明天皇元年(655)に津軽蝦夷が難波朝廷に朝貢し冠位を授けられたこと、また658年~660年の阿倍比羅夫の北征記事を挙げることができる。斉明天皇四年(658)四月の第一回目の遠征では、阿陪臣が軍船180艘を率いて日本海側を北上し、齶田・渟代の蝦夷を降伏させ、津軽の郡領ら(郡の長官。郡は律令地方行政単位である郡の長官。この段階での呼称は『日本書紀』による修辞と考えられる)を定めたとある。同年7月条には、渟代郡領とともに津軽郡大領(長官)馬武と少領(次官)青蒜に冠位等が授けられている。また翌年3月の北征では、飽田・渟代の蝦夷らとともに饗応を受けている。古代津軽の蝦夷が7世紀から朝廷と関係を持っていたことがうかがえる史料である。(武井紀子)
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