更科紀行 芭蕉自筆稿本
【指定区分】 | 国指定 |
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【種別】 | 書跡 |
【所在地】 | 上野丸之内 |
【指定年月日】 | 昭和52年6月11日 |
解説
貞享5年(1688)に『笈の小文』の旅を終えた芭蕉が江戸への帰途、信濃更科の名月を仰ぎ、善光寺に詣でた際の紀行文と発句を綴った自筆の草稿である。元は懐紙5枚に書き継がれ、料紙には薄美濃紙が用いられている。本文は「さらしなの里おはすて山の月見の事」以下82行からなり、末尾に「はせを」の自署がある。文中には訂正の跡が著しく、所掲の句も抹消・加筆があり、草稿本であることがわかる。芭蕉の紀行文としては現存する唯一の草稿本で、『更科紀行』の推敲過程を明らかにする貴重なものである。本文末には芭蕉の高弟尚白による識語があり、本巻が芭蕉の真跡であると記している。