解題・説明
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制札は高札(こうさつ)・禁制ともいい、法令や禁令などを板札に墨書し、庶民に周知するために宿場町など人通りの多いところに掲示したものである。 18世紀後半の飯塚宿の絵図には中茶屋(長崎屋・脇本陣)の前に制札場が描かれており、この制札はこの場所に掲げられていたものと推定されます。
【制札の内容】 万事、良くないことに、百姓が大勢で話し合い、徒党を組んで願い事を強行に訴えることを強訴といい、あるいは話し合い村から立ち退くことを逃散という。 これについては、以前から幕府より禁止の法令が出ている。もし、このような者たちがいたら、住んでいる村や他の村に限らず、早々に役所に届けなさい。
【翻刻(ほんこく)*】 何事によらす、よろしからさる事に 百姓大勢申合せ候をとたうととな□(へ) とたうしてしひてねがひ事くハたつるを こうそといひ、あるひハ申あハせ村方 たちのき候をてうさんと申、前々より 御法度候条、右類之儀これあらハ居村 他むらにかきらす品々そのすしの 役所へ申出へし、御ほうひとして ととうの訴人 銀百枚 こうその訴人 同断 てうさんの訴人 同断 右之通下され、その品により帯刀苗字 御免あるへき間、たとへ一旦同類に成ル[ ](とも) 発言いたし候ものゝ名まへ申出るにおゐて 其科をゆるされ、御ほうひ下さるへし 右類訴人いたすものもなく、村々騒立[ ](候節)、 村内のものを差押ととうにくはゝらせ□(す)、 一人もさしいたさゝる村方これあらハ村[ ](役人) にても百姓にても重にとりしつめ候もの□(ハ) 御ほうひ銀下され、帯刀苗字御免、 さしつゝきしつめ候ものともゝ、これあら□(ハ) それ〳〵(それ)御ほうひ下しおかるへき者也
明和七年四月 奉行
*古い時代の文字を読み取り、活字化(テキスト化)すること
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