田楽は五穀豊穣を祈願して行う田に関する芸能。田楽踊りは中国から入ってきた芸能の一つで、豊年予祝や悪霊退散の意味をもって、わが国の祭礼とむすびついて流行した芸能で、全国六十数力所で行われている。びんざさら・太鼓・小鼓・銅拍子をもったもの数名が輪になり、列になり、入り組んだり、いろいろに陣形を変え飛び跳ね、足拍子を踏みながら躍るもの。新野の雪まつりは田楽を中心に行われる。
新野の雪祭り 昭和51年1月
行列の前を塩水でお清めをする老人
新野の雪祭り・お上(のぼ)り 昭和33年1月
提灯、市子(いちこ)、ササラ役舞の者などがつづき、神職、神輿など長い列をつくる。
新野の雪祭り
下伊那郡阿南町新野の伊豆神社で一月十四日、夜を徹して行われる祭り。神楽殿での舞に始まり、次に拝殿へ移る。この間、びんざさらの舞・論舞(ろんまい)・順(ずん)の舞・仏の舞などあり、夜中から庭で大たいまつのあかりのもと、仮面(かめん)をつけた神々が出現して、新年の豊作を祈る唱(とな)え言や舞を演じる。その演目は(1)さいほう(2)もどき(3)競馬(きょうまん)(4)牛(5)翁(おきな)(6)松影(7)正直切(しょうじっきり)(8)海道下り(9)かんば(10)天狗(鬼)(11)八幡(12)しづめ(13)鍛冶(14)田遊び。これらは、南北朝から室町時代にかけて諸国で盛んに行われた田楽(でんがく)とか猿楽(さるがく)の芸能の要素が祭りのなかに取り込まれていて、中世日本の社寺芸術の伝統を豊富に残す貴重な歴史的遺産であることがわかる。国の重要無形民俗文化財に指定。
新野の雪祭り 昭和30年1月
お上(のぼ)りの行列を見る地元の人々
新野の雪祭り・お滝入り(みそぎ) 昭和30年1月
掛け樋(ひ)で水を落としているところへ入り、体へ水をそそぎ清め、9度背を打たせるように回って水に打たれる。
新野の雪祭り 昭和51年1月
たいまつ作りのあい間にサイホウを習う若者達
新野の雪祭り・海道下り 昭和33年1月
袮宜の親子が都からはるばる海道を下って来て、当神社を祝う。一種の狂言に仕立てたもの。