解題・説明
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飯田市の周辺は古くから和紙生産の多いところだ。冬季は、乾燥した晴天の日が多いので和紙のこよりに糊付けして、日当りのよいところで乾かし、髪結い用の元結をつくることが古くから盛んであった。近年は髪型の変化から元結の需要が少なくなり主として祝い事に用いる。 金銀や紅白の水引が、贈り物の包装の上に結ばれて差し出される。婚礼の五品、九品などの結納の飾り水引。さては葬礼、仏事の供え物の黒白・青白・黄白また総白の水引の結び。それは日本人の器用な指先から生まれた芸術ともいうべきものである。線と色彩が生み出す模様は、実に多様。近年は古くからの伝統の上に、近代的な創作が加えられて、ますます多種多様になってきている。この水引細工の基本となる結びは「淡路結び」といわれる結び方でそのくりかえし、応用して、さらに梅結び、花結びなど多くの結びをもって、いろいろな形が作りだされる。これから基本的な形として、ツル、カメ、松、竹、梅、菊、桐、宝船、宝結びなど縁起のよいものの形が生まれ、この単純なものから複雑なものへ、それに色彩の組合せによって、いろいろな種類ができる。
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