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成立
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安永6年孟春日、〈加陽金府住〉文聾斉自序。書写識語「文聾翁の北嶋を巡りたまひしに壁岩嶮路にして蒼海眼かれせす佳景の秀雅皇社の霊閣郡にみちしに辺鄙の遠境なれは知る人なきを歎きたまひ能登鑑と題し一部になしたまふも後代に至り歩行の侭ならぬものゝ助ケにやと其心さしも凡ならず居なから秀景を知るもありかたくも楽しみに足れり書せられしも早八十としのうゑを経ぬれと人追々に写し取++しにや字正の違ひまたはかなつかひのたしかならさるも有へし願くは本書によらば其正しきおも知るへきにと人馬の賃せんも当代と違もあるへきや見安からさる文字もあるへけれと本のまゝをおろかなる筆にて予還暦のはる写し置ぬ/安政五年のはる日 彩花堂(朱小長方印「彩花堂」)」。
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