古代・中世にさかのぼる特徴的な古文書を紹介します。くずし字と翻刻文(活字)を横に並べることにより、書かれた内容を知り、その魅力を知ることができます。
某立願文(河野家文書12)
この資料は、鎌倉時代の文保2年(1318)に記されました。冒頭には「うやまって願いを立てる」という趣旨の文章が記されています。 普通の文章と同じように上から下に読み進めていくと、途中で意味が取れなくなってしまいます。そこで、横・斜め・横…とジグザグに読んでみると、「サカモトノカウノシヤフチトフ…」(坂本の郷の小地頭…)のように、意味が通じてきます。どうやらこの部分は、村を支配する地頭をやめさせるよう、当時の黒鳥村にあった安明寺というお寺の本尊薬師如来に祈願する内容だったようです。 地頭に知られることをおそれて、このような暗号文が作られたのでしょうか。日本の中世史料でも、極めて珍しいものです。
修善講式 覚超自筆草案
古代の歴史書である『日本書紀』によると、和泉国の豪族である池辺氏は、中国大陸から日本に移り住んだ渡来人の子孫であり、飛鳥時代から仏教を信仰していたようです。平安時代に、池辺氏に生まれた覚超(かくちょう)は、比叡山延暦寺で仏教を学びました。「修善講式」は覚超が出身地の横山で行った「修善講」という儀式の内容を記したもので、覚超本人の自筆とみられる正暦2年(991)の草案が残されています。「修善講式」は鎌倉時代と江戸時代にも写本が作られました。世代を通じて大切に守られてきたことがわかります。 なお、翻刻文では、読点(、)と中点(・)を補い、つぎのように、漢字の一部をひらがなに改めました。 お(於)、き(支)、せ(世)、た(太)、て(天)、と(止)、の(乃)、ひ(比)、も(毛)、よ(与)、り(利)

