ラグビー先進国ではクラブが母体であるのに比べ、日本では高校、大学など教育機関を中心にラグビーが発展してきた。世界で珍しい形態である。都会では学校以外にラグビーをプレーできるような環境に恵まれなかったこともあろう。クラブはラグビー経験者を中心に、ゲームを楽しみ、ビールを飲み交わす場となっていた。それ自体は悪いことではないが、クラブラグビーには草ラグビーをイメージさせるものがあった。平成に入りクラブラグビーを活性化させる動きが見え、クラブ大会が全国的に組織されるようになった。
『機関誌』Vol.43-6、P38 平成5年(1993)度『関東協会クラブ委員会の報告』を見ると、クラブラグビーを取り巻く当時の概況がわかる。
「関東協会管下には、2481チームが登録されている。このうち『クラブ』は819を数え、チーム区分のうえでは最大勢力となっている。平成2年度に関東協会では、毎年急増し続けるクラブチームの諸問題に対処するため、関東協会内13番目の委員会としてクラブ委員会を設置した。以来、クラブ委員会では、東日本クラブ選手権大会の主催、全国クラブ大会の主管を始めとする一連のクラブ大会の発足、拡充に当ってきた。その過程で一番重要視したことは、ラグビースピリッツの啓蒙推進ということであった。従来ややもすると『クラブだから……云々』という妥協や甘えが散見されたことは否めない。そこで委員会としては、選手登録制度の徹底遵守(二重登録の排除)、服装の整備(ジャージィ、パンツ、ソックスを揃える等々)、グラウンドマナーの向上というような、従来クラブラグビーがいまひとつ一人前として認知されてこなかった事項に関して、徹底的な改善を図ったきた。これらは一定の成果を上げつつあるといえる。そこで平成6年度以降は、クラブ委員会の基本方針を『各都道府県クラブ大会の充実』に移行させていくこととした。各都道府県クラブ大会は、従来のように、県内限りの自己完結の大会ではなく、いまや東日本大会→全国大会につながる大会としての意義付けを有するようになった」。
こうした経緯で、平成5年(1993)度に第1回全国クラブ大会が発足することになった。平成22年(2010)度で第18回を数えるようになったクラブ選手権は、現在タマリバクラブを中心に発展途上中である。近い将来にクラブラグビーが日本の強化と発展を担う時代が来てほしいものだ。
優勝チームおよび優勝回数 | ||
1 | 神奈川タマリバクラブ | 11回(旧名称:タマリバクラブ)(愛知教員クラブと両チーム優勝1回含む) |
2 | 六甲ファイティングブル | 6回(旧名称:六甲クラブ) |
3 | 北海道バーバリアンズ、ハーキュリーズ | 4回 |
4 | 曼荼羅クラブ | 3回 |
5 | イワサキクラブ | 2回 |
6 | 三洋クラブ、愛知教員クラブ(神奈川タマリバと両チーム優勝) | 各1回 |
回数 | 試合日 | チーム | スコア | チーム | グラウンド | レフリー |
【全国クラブラグビーフットボール大会決勝】 | ||||||
第1回 | 平成5年(1993)11.7 | ○イワサキクラブ | 24−10 | ●千里馬クラブ | 熊谷ラグビー場 | 真下 昇 |
第2回 | 平成7年(1995)1.4 | ○イワサキクラブ | 25−14 | ●六甲クラブ | 北九州本城 | 吉丸秀利 |
第3回 | 平成8年(1996)1.4 | ○六甲クラブ | 89−12 | ●吉四六クラブ | 岡山美作 | 藤本雅弘 |
第4回 | 平成9年(1997)1.4 | ○六甲クラブ | 25−15 | ●千里馬クラブ | いわき陸上 | 桜岡将博 |
第5回 | 平成10年(1998)1.4 | ○三洋クラブ | 32−31 | ●曼荼羅クラブ | 熊本八代 | 御領園昭彦 |
第6回 | 平成11年(1999)1.3 | ○曼荼羅クラブ | 54−5 | ●三洋クラブ | 岡山美作 | 谷口浩司 |
第7回 | 平成12年(2000)1.23 | ○六甲クラブ | 57−33 | ●曼荼羅クラブ | 秩父宮ラグビー場 | 桜岡将博 |
第8回 | 平成13年(2001)1.14 | ○曼荼羅クラブ | 42−10 | ●六甲クラブ | 秩父宮ラグビー場 | 相田真治 |
第9回 | 平成14年(2002)1.6 | ○タマリバクラブ | 40−10 | ●北海道バーバリアンズ | 秩父宮ラグビー場 | 藤 実 |
第10回 | 平成15年(2003)1.19 | ○曼荼羅クラブ | 39−7 | ●六甲クラブ | 秩父宮ラグビー場 | 藤 実 |
第11回 | 平成16年(2004)1.18 | ○タマリバクラブ | 90−22 | ●六甲クラブ | 秩父宮ラグビー場 | 原田隆司 |
第12回 | 平成17年(2005)1.30 | ○タマリバクラブ | 82−26 | ●六甲クラブ | 秩父宮ラグビー場 | 渡辺俊行 |
第13回 | 平成18年(2006)1.29 | ○タマリバクラブ | 10−3 | ●北海道バーバリアンズ | 秩父宮ラグビー場 | 藤 実 |
第14回 | 平成19年(2007)1.28 | ○タマリバクラブ | 69−7 | ●北海道バーバリアンズ | 秩父宮ラグビー場 | 山田智也 |
第15回 | 平成20年(2008)2.17 | ○タマリバクラブ | 21−0 | ●六甲クラブ | 秩父宮ラグビー場 | 桜岡将博 |
第16回 | 平成21年(2009)2.1 | ○タマリバクラブ | 64−17 | ●駒場WMM | 秩父宮ラグビー場 | 桜岡将博 |
第17回 | 平成22年(2010)1.24 | ○六甲ファイティングブル | 38−15 | ●駒場WMM | 秩父宮ラグビー場 | 下井真介 |
第18回 | 平成23年(2011)1.23 | ○タマリバクラブ | 24−22 | ●北海道バーバリアンズ | 秩父宮ラグビー場 | 下井真介 |
第19回 | 平成24年(2012)1.29 | ○六甲ファイティングブル | 34−12 | ●神奈川タマリバクラブ | 秩父宮ラグビー場 | 藤内有己 |
第20回 | 平成25年(2013)1.20 | ○六甲ファイティングブル | 49−0 | ●北海道バーバリアンズ | 秩父宮ラグビー場 | 堀江 学 |
第21回 | 平成26年(2014)3.20 | ○北海道バーバリアンズ | 38−19 | ●名古屋クラブクラスクラシコ | 花園ラグビー場 | 加藤真也 |
第22回 | 平成27年(2015)3.1 | ○神奈川タマリバ | 14−10 | ●北海道バーバリアンズ | 熊谷ラグビー場 | 梶原晃久 |
第23回 | 平成28年(2016)2.21 | ○神奈川タマリバ | 41−14 | ●北海道バーバリアンズ | 熊谷ラグビー場 | 谷口かずひと |
第24回 | 平成29年(2017)2.19 | ○北海道バーバリアンズ | 41−31 | ●神奈川タマリバクラブ | パロマ瑞穂 | 松岡辰也 |
第25回 | 平成30年(2018)2.18 | ○北海道バーバリアンズ | 25−10 | ●六甲ファイティングブル | パロマ瑞穂 | 藤内有己 |
第26回 | 平成31年(2019)2.17 | ○北海道バーバリアンズ | 29−21 | ●神奈川タマリバクラブ | パロマ瑞穂 | 真継丈友紀 |
第27回 | 令和2年(2020)2.16 | ○ハーキュリーズ | 17−16 | ●名古屋クラブ | パロマ瑞穂 | 麻生彰久 |
第28回 | 令和3年(2021)2.21 | △神奈川タマリバクラブ | 24−24 | △愛知教員クラブ | 熊谷スポーツ文化公園 | 田崎 富 |
(決勝戦引き分けによる両チーム優勝) | ||||||
第29回 | 令和4年(2022)2.20 | ○ハーキュリーズ | 19−15 | ●愛知教員クラブ | 熊谷スポーツ文化公園 | 田崎 富 |
第30回 | 令和5年(2023)2.19 | ○ハーキュリーズ | 19−0 | ●千里馬クラブ | 熊谷スポーツ文化公園 | 田崎 富 |
第31回 | 令和6年(2024)2.18 | ○ハーキュリーズ | 28−16 | ●神奈川タマリバクラブ | 熊谷スポーツ文化公園 | 中釜宏和 |