平成22年(2010)6月19日 アピアパーク
11年ぶりにサモアを破る
No.495★257 第5回IRBパシフィック・ネーションズカップ2010第2戦 | ||||||
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2010年6月19日 G:アピアパーク(サモア) R:ウェイン・バーンズ(E) KO 15:40 | ||||||
日本代表 | 31 | - | 23 | サモア代表 | ||
1 | 川俣 直樹(三洋電機) | 25 | 前 | 6 | 1 | ジェームス・アフォア |
2 | 堀江 翔太(三洋電機) | 6 | 後 | 17 | C2 | マホンリ・シュワルガー |
3 | 畠山 健介(サントリー) | 3 | アンソニー・ペレニセ | |||
4 | 大野 均(東芝) | 3 | T | 0 | 4 | フィリポ・レヴィ |
5 | 北川 俊澄(トヨタ) | 2 | G | 0 | 5 | ペル・タエレパヴィヒ |
C6 | 菊谷 崇(トヨタ) | 2 | PG | 2 | 6 | ジョー・テコリ |
7 | タウファ統悦(近鉄) | 0 | DG | 0 | 7 | ファレミガ・セレセレ |
8 | ホラニ龍コリニアシ(三洋電機) | 8 | ジョージ・スタワーズ | |||
9 | 田中 史朗(三洋電機) | 0 | T | 3 | 9 | ジュニア・ポル |
10 | ジェームス・アレジ(ニューポート) | 0 | G | 1 | 10 | ロロ・ルイ |
11 | 小野澤 宏時(サントリー) | 1 | PG | 0 | 11 | ディヴィッド・レミ |
12 | ライアン・ニコラス(サントリー) | 1 | DG | 0 | 12 | ジェイミー・ヘレワー |
13 | アリシ・トゥプアイレイ(キャノン) | 13 | ケヴィン・ウィリアムス | |||
14 | 遠藤 幸佑(トヨタ) | 14 | 反 | 10 | 14 | ミカエレ・ペサミノ |
15 | 松下 馨(ヤマハ) | 15 | ポール・ウィリアムス | |||
交代【日】ルーク・トンプソン(近鉄)⑤、吉田朋生(東芝)⑨、平島久照(神鋼)①、ショーン・ウェブ(コカコーラW)⑮、シオネ・バツベイ(三洋電機)⑦、金澤良(リコー)⑬ 【サ】C.ジョンストン①、O.トレバーレイナス⑤、R.レヴァサ⑬、U.マイ⑨、A.ファオシリバ⑦、J.カイル⑫、A.ウィリアムス② シンビン=川俣(日) | ||||||
得点:Tニコラス2、小野澤、Gアレジ2、PGアレジ3、DGアレジ |
日本が前半に速いテンポで攻めて奪った3トライを守り、11年ぶりにサモアを下した。
私はカーワンジャパンが進化していると書き続けてきたが、この試合で見事に実証してくれた。これまでのゲリラ的な勝利・善戦から一歩進んだ互角の力を見せたのが大きい。サモアに信じられないミスが出たことに救われた面もある。だがそれもジャパンの激しく、速い、前へ踏み込んだディフェンスがあったからだ。日本は川俣、畠山を両プロップに入れて、サモアの強力なスクラムを凌いだ。ラインアウトもミスなく日本ボールのほとんどを支配したことが大きい。先制トライはモールサイドからHO堀江が素早く出したボールをSOアレジがゴロを転がし出足よく飛び出したニコラスが押さえたもの。2つめのトライはこの日のハイライト。スクラムから8−9でサイドを攻め、遠藤の突進を生かして連続攻撃、速い球出しでニコラスが小野澤を走らせた。テレビ観戦の私は思わず「よっしゃー」と叫んだ。これぞ日本のトライ、目指している攻撃の完成図だったからだ。3つめのトライはニコラスがゴロキックを自ら押さえた。サモアの攻撃をことごとく封じて前半2PGに抑え25−6とリードする理想的な展開。だがもちろんサモアの力はこんなものではなかった。
後半5分に日本アレジがPGを決めて28−6と突き放しにかかるが、12分、サモアSOロロ・ルイが抜いてNo8スタワーズがトライを決めて28−11と反撃の狼煙(のろし)をあげる。18分に密集付近でサモアの選手をタックルした川俣がシンビンで10分間の退場を告げられた。ひいき目でなく私にはなぜシンビンなのか理解できなかった。スクラムのため日本は統悦を下げ、平島を入れて7人でサモアの猛攻を堪えた。この10分間サモアに得点を許さなかった健闘が勝利につながった。30分にサモアは、セブンズで彗星のごとく世界のニューヒーローになったWTBベサミノが40mを走りきってトライ、ルイのゴールも決まって28−16と追い上げてくる。36分、ここで日本は実に、実に効いたアレジのDGが決まり、やっと勝利を確信できた。またも「よっしゃー」の連発である。38分に後半出場のSHウアレ・マイに持ち出され、FLジョー・テコリに3つめのトライを許したのは大いなる反省課題だが、選手が十分承知しているから今日はいいとしよう。
長いロスタイムを凌いでついにノーサイド。堪えて久しい勝利の笛がこんなにうれしいとは……。「培ってきたジャパンスタイルができていた。一つ上にレベルアップしたと思います」(朝日)。いつもは辛口のジョン・カーワンもうれしそうにコメントしていた。