テストNo.276 アジア五カ国対抗2012 第3戦 韓国代表戦

平成24年(2012)5月12日 G:城南 R:アンソニー・ロシアン(香港)

日本代表 52-8 韓国代表

No.514★276 第13回IRBアジア五カ国対抗2012 第3戦 韓国代表
2012年5月12日 G:城南 R:アンソニー・ロシアン(香港)
日本代表 52 8 韓国代表
1 長江 有祐(リコー) 14 0 1 ヨ・ユジェ
2 有田 隆平(コカ・コーラW) 38 8 2 シン・ヨンジン
3 畠山 健介(サントリー) 3 ホ・ウン
4 真壁 伸弥(サントリー) 2 T 0 C4 ヨン・グォンウ
5 大野  均(東芝) 2 G 0 5 パク・スンチェ
6 望月 雄太(東芝) 0 PG 0 6 イ・グァンムン
7 佐々木 隆道(サントリー) 0 DG 0 7 キム・ヒョンス
8 マイケル・リーチ(東芝) 8 ハン・ゴンギュ
9 藤井  淳(東芝) 6 T 1 9 ヤン・ヨンフン
10 小野 晃征(サントリー) 4 G 0 10 パク・ホンシク
11 小野澤 宏時(サントリー) 0 PG 1 11 キム・グァンミン
12 立川 理道(クボタ) 0 DG 0 12 キム・ナンウク
13 仙波 智裕(東芝) 13 パク・ノフン
C14 廣瀬 俊朗(東芝) 8 18 14 チョ・インス
15 五郎丸 歩(ヤマハ) 15 キム・ウォンヨン
交代【日】日和佐篤(サントリー)⑨、木津武士(神鋼)②、田村優(NEC)⑫、伊藤鐘史(神鋼)④、山下裕史(神鋼)①、桑水流裕策(コカ・コーラW)⑧、長友泰憲(サントリー)⑮ 【韓】チェガル・ビン⑫、チャン・ソンミン⑩、キム・ソンファン①、キム・ジンウン③、キム・ヨンナム⑧、パク・ワンヨン⑨、シン・ウシク⑦  シンビン=キム・ヨンナム(韓)
得点:T真壁、望月、佐々木2、小野澤3、廣瀬、G五郎丸4、田村2

 開始1分。韓国のキックオフで日本が自陣からフェイズを重ねるが、ブレイクダウンで反則してしまう。6分には、敵陣深くのラインアウトからのモールを押し切れず、サイド攻撃はノックオン。さらに、8分には、ラインアウトでノットストレート……。

 試合よりも練習の方が厳しいと誰もが口を揃えるハードトレーニングを続けてきた疲労の蓄積もあったかもしれない。また、それまでの2戦の対戦相手と違って、激しく前に出てくる韓国のラッシュ・ディフェンスに戸惑った面もあるだろう。日本が得点を奪えなかった序盤の時間帯、韓国に攻め込まれるシーンもあったが、「ディフェンスは良かった」(ジョーンズHC)という堅守で先行されることはなかった。0-0のままで迎えた19分、自陣からフェイズを重ねた後、FB五郎丸歩副将が右側のスペースを大きくゲイン。SO小野晃征-CTB立川理道コンビでタテに突破してゴールに迫った後、素早い球出しから再び立川から左WTB小野澤宏時にパスが回って、34歳のベテランWTBが韓国ゴールを陥れた。

 日本は25分にもCTB立川の突破からチャンスをつくり、LO真壁伸弥がトライ。これで完全にペースをつかんだかに思われたが、結局、前半の得点は、この2トライと五郎丸副将の2ゴールによる14点のみ。34分には五郎丸副将が正面のPGを外し、そのドロップアウトからのキック処理を小野澤がミスして一気にピンチを招く。韓国のインゴールノックオンに救われてトライこそ奪われなかったが、どこかちぐはぐなままハーフタイムを迎えた。自らのミスもあって韓国のラッシュ・ディフェンスを崩しきれなかった前半だったが、「試合前から『30分間は我慢』と伝えてあった」と薫田AC。廣瀬主将は「ハーフタイムも、雰囲気は前向きな感じだった。ちょっとうまくいっていないだけで、自分たちを信じれば大丈夫だ、と。最初、外に抜けて、そのイメージが強過ぎたこともあったので、もう少し我慢してタテに行ってから外の方が良いのじゃないかというような話をした」

 後半は時間の経過とともに力の差が表れるようになった。4分に韓国がPGで先制したものの、8分のFL望月雄太のトライを皮切りに、後半は6トライを重ねて、最終的に得点を50点台に乗せた。ピッチ上の15人全員が前半の問題点を意識して、自分たちのアタックを構築し直した結果と言えるだろう。同時に、後半から途中出場したSH日和佐篤のテンポの良さがチームに勢いを与えた。「何分から試合に出ても、テンポを上げるように言われていた」という言葉どおり、サントリーでアップテンポのアタッキングラグビーを体現してきた経験を生かして、日本代表の攻撃をリードし続ける活躍を見せた。留学先のフランスから帰国後すぐに日本代表の福岡合宿に合流した日和佐は、練習では主にリザーブメンバーチームに入り、SO小野とは「今日の試合で初めて合わせた」(小野)というぶっつけ本番。その影響か、後半の40分間で3本のパスインターセプトを許したが、「独特のテンポでリズムをつくってくれる」(廣瀬主将)スタイルで、ジャパンの攻撃にメリハリをつけた。

 小野澤のハットトリックに廣瀬主将の1トライを加えて、日本の計8トライ中4トライがWTB。一方、残り4個はFW(佐々木2、真壁、望月各1)と、後半にかけて日本代表の攻撃のバランスは良くなった。セットプレーは終始安定しており、後半のスコア(38-8)がブレイクダウンと攻撃の形が試合中に修正できたことを示している。

「ブレイクダウンでしっかり仕事をしながら、ペネトレートしていきたい」と語っていたFL望月は、ジョーンズHCが「力強さがあるし、センスもいい」と高く評価する活躍ぶり。2トライの佐々木副将とともに、両FLの仕事ぶりは際立っていた。後半途中出場したCTB田村優も、積極的にボールを前に運ぶランでチームに勢いをつけていた。

 最初の2戦よりも格段に手強かった韓国相手に、終盤見せたプレーはそれまでより高いクオリティだった。「すでに形ができ始めているし、あとは細かいところ。みんな吸収が早い」とは、日本代表に合流したばかりの日和佐の印象だ。代表キャップ57を誇るFW最年長のLO大野均は「若いチームなのに、試合の中でしっかり自分たちで修正できる。頼もしいなと思う」と、若い選手の意識の高さを訴える。